コラボレーションがもたらす優位性:業界の最大手が力を合わせて、香料業界を制覇
Givaudan社の専門家が、競争の激しい香料業界が直面する課題について説明し、世界的に増え続ける香料の需要を満たす方法を明らかにします。
アートだとしてもサイエンスだとしても、香料市場は多くの世界的・地域的なライバル企業からなる、極めて収益性の高い産業になっています。香料産業は、2031年までに992億ドルに達すると推定されています。

香料とは、芳香性の化学物質と精油の混合物からなる香りを放ち、拡散する物質と定義されます。香料は、単なる高級品ではなく、今では多くのパーソナルケア製品にもよく使われています。多くの化粧品メーカーは、エンドコンシューマーが好感を抱くように、製品に香料を加えています。SelectScienceの今回の独占インタビューでは、Givaudan社リサーチインフォメーションシステム部門代表のアンドレアス ムハイム(Dr. Andreas Muheim)博士に、進化を続ける香料業界の詳細や、PerkinElmer Informaticsとの長年の協力関係により、迅速かつ効率的なデータ収集を実現するために現在のプロセスと在庫管理をいかに近代化したのか、お話をうかがいます。ムハイム博士は、PerkinElmer Informaticsが提供するソリューションによって、社内の研究者が時間を節約し、ラボでの本当に重要な問題に集中できるようになったことを明らかにしています。また、多くの挫折を乗り越えて世界に誇る香料を生み出した経緯と、将来に対する希望についても語りました。
香料を支えるサイエンスとアート
ムハイム博士は、リサーチインフォメーションシステム部門の代表として、新しい香料成分の発見・投資・創造のための研究に励む専門の研究者チームを率いています。「新しい成分の特許を取得することで、Givaudanの調香師専用の成分になります。これらの成分が優れたものであれば、当社の香料の市場での競争力は高まります」と述べました。
Givaudan社は、食品香料・香粧品香料・化粧品有効成分を製造するスイスの多国籍企業です。香料業界では世界最大の企業と認められ、複数の有名高級ブランドと提携しています。「一般消費者や顧客は、Givaudanから直接購入できません。当社の取引範囲は企業間であり、大手食品メーカーや消費財メーカーが当社の顧客です。そのため、これらの大手消費財メーカーに香料を直接販売しています」と説明しました。
Givaudan社の顧客は、自社製品の香水から、フェイスクリーム・消臭剤・ランドリー製品などのパーソナルケア製品に至るまで、Givaudan社から購入した香料成分を使用しています。「Givaudanは、香料・香水の世界で最大手企業です。技術力や知的財産権に加えて、世界的な存在感もあります。また、当社には業界内で最高の人材がいるため、継続的なイノベーションもお約束できます。今日、新しい成分を探索する際に直面する問題は多数存在します。新しい成分を発売しようとする場合、その成分が持続可能・再生可能・生分解性があり、環境に優しく、理想的にはカーボンニュートラルであることが求められるからです」と述べています。

業界の大手同士が手を結ぶ
Givaudan社は、香料の新成分・改良品の継続的なイノベーションとトレンドを作り出すために、PerkinElmer Informaticsと共同で取り組んでいます。「Givaudanは、PerkinElmer Informaticsの欧州初の顧客の1つで、20年後の現在も、その協力関係が続いています。私達の協力関係は化学物質の登録から始まり、すぐにPerkinElmer Informaticsのソフトウェアパッケージが提供する分野全体に広がりました」と説明しました。Givaudan社とPerkinElmer Informaticsとの長期にわたる協力関係は、あるビジネス上の障害に立ち向かう上で非常に役立っています。
「当社が抱える課題の1つは、科学コミュニティが極めて広範であることです。そのニーズは非常に多種多様で、時に相容れないこともあります。科学コミュニティには、創薬化学・プロセス化学を手がける研究者、さらには分子生物学者・発酵のスペシャリスト・知覚科学者などの微生物学分野の研究者が共存しています。Givaudanが最新の科学的アプリケーションを導入したのは、ほんの数年前です。そのなかで、PerkinElmer InformaticsのSignals Notebook™が、業務の中心的役割を果たすようになったのです」と説明しました。Signals Notebookは、将来も有効に使用できるクラウドネイティブの電子実験ノート ソリューションです。このソリューションは、生物学・化学・製剤処方など、様々な科学分野の研究者向けに設計されています。Signals Notebookによって、コラボレーション・ワークフロー・自動化を強化し、生産性とデータの透明性を向上できます。
“「当社の大きな障害は、化学物質の発注・バーコード化・ラベルの印刷・データの更新・位置情報の追跡・発送など、最新の在庫管理を導入することです。複雑なワークフローですが、Signals Notebookのプラットフォームにこれらを取り込むことで、実現できました」と述べました。「私が気に入った点は、ユーザの個々のニーズに合わせて簡単に設定でき、データの構造化にも役立つことです。アプリケーション プログラミング インタフェース(API)によって、構造化された重要なデータを取り出し、そのデータを私達が所有する他のデータすべてと組み合わせられるようになりました」
PerkinElmer Informaticsとの密接な関係について、ムハイム博士は次のように率直に語っています。「Signals Notebookのおかげで、ラボで生成した実験の基礎データを当社の研究者が取得するための強力な基盤を構築できました。PerkinElmer Informaticsは本当に当社の助けとなってくれました」。Signals Notebookに加え、ムハイム博士とその専門家チームはChemDraw®も使用しています。ChemDrawは、化学研究の管理・報告・発表を容易にすることで、化学構造式を化学的ナレッジに変換する、化学者向けのソフトウェア ソリューションです。「当社の化学者達は、このソフトウェアを気に入っています。開始してから数年の間に、これほど進歩したのは驚きです」と述べ、さらに、研究データを自由に探求できる高度なアナリティクス プラットフォームのTIBCO® Spotfire®の用途について説明しました。「TIBCO Spotfireは、研究データを補い、ビジュアライズできる素晴らしいツールです。今はまだ、このビジュアライゼーションツールを十分に活用できず、特定のケースだけに使用しています。総合的な目標は、TIBCO Spotfireを組織内でより一層活用することです」。
より良い成果のために、ラボ効率を向上
“「時間を節約することが私達の目標の1つです。研究者は、データの取得に時間を浪費せずに、実験に時間を費やすべきであり、それをサポートするためのテクノロジーを使用しなければなりません。テクノロジーは、研究者がデータを取得できるように進歩しなければなりません。当社の化学者や研究者は、取得したデータを用いて次の実験を計画します」と述べました。さらに、近々データに機械学習を適用して、研究者達が自分の研究をさらに効率化できるように導き、助けとなることを期待しています。「研究者は皆、スピードと、データを検索・探求できるパワーを好みます。大部分の科学データはラボで生み出されるため、私達がデータを取得する際にSignals Notebookが重要な役割を果たしているのです」と話を結びました。