クラウドベース型の化学で、化学者の生活をシンプルにして発見を促進

データを、より効率的に収集・検索・管理できれば、どれほど多くの時間を分析・発見・革新に費やせるでしょうか?

工業化学者は、この数年間で、多様な情報源からのデータの爆発的増加に見舞われています。論文・測定装置・データベース・実験から日常的にデータを得ていますが、多くの場合、意味のある結論を出すためには、ドキュメントやスプレッドシートがメインツールとして使わています。

実のところ、あまりにもデータが多いと、データは構造化されず、とても多くの場所に分散して保管されがちです。そのため、実際に結果を検討するのと同じくらいの時間を、データのアップロード・整理・情報検索に費やしている可能性があります。

最新のクラウドベース型電子実験ノート(ELN)に移行することで、これらの問題の多くを解決できますが、化学者は依然としてこの変化に消極的なようです。最近のChemistry Worldのウェビナーで報告された調査結果では、調査対象の組織のうち、正式にクラウドへ移行したのはわずか20%、クラウドへの移行計画があるのは約50%でした。
根本的に、もし、化学者がデータをより効率的に収集・検索・管理できたとすれば、どれほど多くの時間を分析・発見・革新に費やせるでしょうか?
 

皆様にとってクラウド移行のための活性化エネルギーとは何でしょうか?

紙のノートからスプレッドシートを経て、クラウドベース型のELNに移行する過程を、一連のエネルギー障壁と見なせます。紙からExcelへの移行はある程度容易で、ごくわずかなエネルギーの「後押し」があれば障壁を乗り越えられました。しかし、データの多くが電子的に保管されていても、まだ、役に立つといえるほどに整理/管理されているわけではありません。

多くの場合、化学ワークフローは、何千ものスプレッドシート・PDF・Wordドキュメントの組み合わせと、SharePoint・DropBox・Azure・AWSに加え、ChemACXのような商業リソースへの多数のログインで成り立っています。その結果、整備された「データレイク」が減少し、混沌とした「データスワンプ」が増大します。結果の検索に時間がかかり、うんざりすることが多く、手に負えない量の場合もあります。目の前に何百万行もの表がある場合、データの理解・パターン識別・意味のある結果の特定は、人間の力では不可能です。

そのための機能を備えたELNでは、これらの問題を大幅に解消できます。特に実験計画法を検討する際に有効です。では、どうすれば、完全統合型のクラウドベースELNに移行できるでしょうか?

Digital Transformation journey line chart with signals notebook and ChemDraw on the chart.
エネルギーの丘を越えて

PerkinElmer Informaticsの完全クラウド型Signals Notebook™とSignals Inventa™には、化学ワークフローのデータ管理に対する全く新しいアプローチが盛り込まれています。Signals Research Suite™ソリューションは、手間のかかる情報のアップロード・管理・検索を、直感的に操作できる完全統合型の作業環境に置き換えることで、分析・発見・革新を促します。

例えば、複数の変数を用いる実験では、非常に大きなデータテーブルが生成されます。溶媒濃度などで単一の変数を選択・調整するのは、変数が何行にもわたるため、気が遠くなるような時間のかかる作業です。Signals Notebookは、複数の表を同時に更新できる単一インタフェースを搭載しています。そのため、実験対象が複雑な混合物や製剤であっても、低分子化合物に関するものであっても、実験計画の最適化を模索する化学者は、負担の大きな手作業を省き、エラーを減らすことで、イノベーションのための時間を生み出せます。

PerkinElmer Signalsの各ソリューションは、Make・Test・Decideのシンプルなワークフローに則っています。ほぼすべてのケースで、化学者は新しい化合物を作製し、その結果を試験(そして保存)し、分析に基づいて次に行うことを決定します。

Signals Inventaは、このMake・Test・Decideのワークフローを用いて、過去と現在のプロジェクトの全履歴を基にデータを整理・分析・ビジュアライズする強力なツールとして、化学を次のレベルへ導きます。Signals Inventaでは、化合物・分子・構造・プロジェクト・日付・研究者別に、ほぼすべての範囲の組み合わせで検索できます。また、数百万行の研究データベース・スプレッドシート・半構造化ドキュメントなどにまたがって検索できます。その結果を基にして、新しいワークフローの作成・新しい実験の設計・新しい化合物の登録ができます。

Signals Notebookで収集したデータを利用して、化学ワークフロー・実験データを洞察に満ちた新たな方法で使用・分析・ビジュアライズするときにSignals Inventaが役立ちます。

極めつけは、クラウドベース型のSignals NotebookとSignals Inventaを用いるときに、基礎となるデータインフラストラクチャの複雑さ/性能に関する深い知識はいらないことです。データセットが非常に大きな場合でも、照会結果とビジュアライゼーションが瞬時に返ってきます。特に、Signals Inventaにはセルフサービスで作業できる特性があるため、多忙なITスタッフやデータ分析スタッフに頼らずに結果を分析・ビジュアライズできます。クラウドコンピューティングの拡張性は莫大なので、以前はオンプレミスのリソースで数か月かかった分析を、わずか数分で完了できます。

データのエントロピーをクラウドの秩序に変換する

新しい分子の扱い・新しいプロセスの設計・拡張性の高い生産の算出には、データが頼りです。究極的には、データで世界をより良くするこもできます。例えば、外科医が手術中に使用できる接着剤の調合、より安全性の高い食品用香料の開発、または毒性がない生分解性の色素の作製は、壮大な志です。

クラウドへの移行は、デジタルエントロピーを大幅に削減することで、これらの目標の達成に貢献できます。Signals NotebookとSignals Inventaを統合することで、ファイルツリー・データベース・スプレッドシートなどの中を探し回る面倒な作業を省き、建設的で楽しい研究に時間を費やせます。

 

 

 

 

 

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ピエール モリユー 博士(Pierre Morieux, Ph.D)
Revvity Signals Software ChemDraw® Wizard担当 ケミストリープロダクト マーケティング マネージャー

モリユーは、Revvity Signals Softwareのケミストリープロダクトのマーケティング マネージャーで、化学者の様々なニーズを、時短や発見を実現する統合ソフトウェアアプリケーションに変えていく支援を行っています。それまでは、2017年からChemDrawのグローバルプロダクト マーケティング マネージャーを担当し、ChemDrawのバージョン17から21や、ChemOffice Suiteの開発と市場投入を監督しました。モリユーは、2012年に化学分野のフィールド アプリケーション サイエンティストとしてPerkinElmer(現Revvity)に入社しました。その前には「How to draw Viagra under 20 sec in ChemDraw」というバイラル動画をYouTubeで公開しています。モリユーは、ENSCP Chimie ParisTechで化学工学の学位(2006)、University of North Carolina at Chapel Hillで薬学のPh.D.(2010)を取得し、フランスのISIS Institute of the University of Strasbourgで生物有機化学のポスドクを修了しました。