バイオ医薬品のクリニカルデータ分析:迅速かつ柔軟に

データを作成するのは簡単ですが、そのデータを速やかに分析して使用するのは、桁違いに難しいことです。

バイオ医薬品企業は、データ分析の力を創薬に活用するよう、あらゆる方面から圧力を受けています。株主等の利害関係者は、その投資に対するタイムリーな利益を期待しています。規制当局は新規の治療プラットフォームを探求しているバイオ医薬品業界を入念に調べています。患者様とその家族は、本当に必要な治療法や、寿命を延ばす治療法を待ち望んでいます。

答えを得るには、膨大な量のデータを分析する必要があります。クリニカルデータの抱える課題は、データの多様化と複雑化が増加の一途をたどっている点です。新規の臨床試験デザイン(アダプティブデザインや分散型臨床試験など)が現れると、データソースが増えるため、治験実施施設の外部でのデータ収集に対応する新しいデータ収集ソリューション(例えば、結果報告のために患者様が病院に行く必要がない患者様中心のシステムなど)が必要となります。結果として、多種多様なデータソースと大量の複雑なデータが発生します。

臨床研究チームは、データの関連性を強調するホリスティックな表示や、一元化したコラボレーションの手法を提供する、迅速かつ柔軟な分析を必要としています。

分析プラットフォームのユーザが最も必要とするクオリティは、スピードと柔軟性の2点です。その分析プラットフォームは、操作時間を最小限に抑え、結果を得るまでのスピードを最大限に高め、意思決定を早める助けになりますか?隠された洞察を発見し、視覚化するイノベーションを可能にする柔軟性も備えていますか?

バイオ医薬品でクリニカルデータを活用する方法

臨床試験の運用に具体的にどのようにTIBCO® Spotfire®が用いられていますか?製薬企業各社は試験中のクリニカルデータレビュー、リスクベースのモニタリング、医薬品安全性審査、治験実施施設の性能モニタリングなどにTIBCO Spotfireを使用していると報告しています。最近開催されたNexusユーザカンファレンスで、製薬企業のクリニカルデータ分析担当者らがTIBCO Spotfireを使用したデータの活用、ワークフローの円滑化、効率改善の事例について説明しました。

PerkinElmer Informaticsのクリニカルデータ分析を行うなかで、様々な臨床使用例・役割・データソース・治療法・プロトコルに迅速に適応するTIBCO Spotfire ソリューションが構築されました。これらの企業が説明した個々のアプリケーションや用途は大きく異なりますが、全ての企業がスピード(高速!)と柔軟性(フレキシブル!)という2つの重要なベネフィットを享受しました。

高速かつフレキシブルに

バイオ/医薬品業界は、創薬・開発・商品化のほぼ全ての段階で、より早く結果を得ようとしています。より早く結果を得ることで、臨床試験データのレビューに集中でき、意思決定のタイミングを改善できます。また、医療現場においては、増悪期間や患者様の転帰を短くできます。

臨床試験で用いるデータセットが非常に多様で複雑な場合、分析・ビジュアライゼーションプラットフォームの柔軟性と拡張性が、臨床使用例をほぼ制限なしに処理する能力に直接影響します。動的で適応性のあるプラットフォームを使用することにより、医療データやクリニカルデータのレビュー、クリニカルオペレーション、医薬品安全性監視、リスクベースの品質管理(RBQM)、バイオマーカーに基づく患者様/コホートの選択など、多くの作業が可能になります。

  • Bristol Myers Squibb(BMS)社では、TIBCO Spotfireを使用して、クリニカルデータのレビュー時間を短縮しています。標準的な安全性データのレビューに要する時間が70%短縮され、数時間かかっていた作業がわずか数分に改善されました。被験者1名にかかる時間も推定で50~75%節約できました。TIBCO Spotfireを用いることで、BMS社のトランスレーショナル バイオインフォマティクス データサイエンス部門が臨床レビューを行うなかで、治験各相全体にわたる科学的な臨床レビューの安全性・有効性・バイオマーカー・反応に関するデータへの理解が深まりました。また、無理なく洞察を得たり、データを深堀することも容易になりました。

同社は、データの全体像を、集約データや個々のデータで一目で確認できるダッシュボードを作成し、レビュー担当者が治験サイクル全体の十分な情報に基づいた意思決定をできるようにしました。また、データキャンバスを通して素早くデータラングリングできる機能も重要で、これによりBMS社は新たな必要事項や将来の必要事項の検討が可能になりました。

  • Gilead Sciences社では、TIBCO Spotfireを利用して臨床試験の分析を強化し、医薬品の安全性を評価するために自然言語処理の新たな使用を模索しました。Gilead社が直面している重要な課題の1つは、膨大な構造化されていないデータセットに起因する問題ですが、これは業界内の他社にも共通する難題です。Gilead社では自動自然言語処理(NLP)を用いて、安全性を損なわずに有害事象のデータ収集を改善しています。NLPは新たな分野ですが、膨大なデータセットを処理でき、医薬品の安全性審査を自動化・簡略化・短縮化し、より効率的にデータ収集できるため、医薬品の安全性の向上に寄与しています。
  • Bayer社では、Spotfireがほぼリアルタイムで情報を発信するので、治験担当者が治験実施施設の状況を一目で評価できるようになりました。Bayer社は、RBQMにデータ主導型のサイトリスクレベリング指標とクリニカルデータウェアハウスを組み合わせて使用しています。

TIBCO Spotfireのダッシュボードを一度構築すれば、異なる試験データ全体をリスクベースのモニタリング、原始データの検証(SDV)、原始データのレビュー(SDR)に使用できます。Bayer社では臨床開発全体で600名近くのユーザが750個を超えるダッシュボードを使用しています。継続中のサイトリスクレベル(OsRL)指標により、有害事象発生率、タイムリーなデータ入力、治験実施計画書からの逸脱量、主任研究者による管理、原始データの検証(SDV)による変更などを、試験・国・実施施設レベルで無理なく把握できるようになりました。

  • Johnson & Johnson社の各治療領域のクリニカル部門では、特注のシグナル検出拡張機能を搭載したTIBCO Spotfireを使用して医学的レビューを実施しています。レビューの追跡と情報交換を目的に、高度にカスタマイズしたSpotfire環境を導入することで、クリニカルデータの相違点をより迅速に特定し管理できます。また、ビジュアライゼーションを用いると、データの外れ値を即座に検出できます。個々のユーザの好みに合わせていくつかの方法でデータをビジュアル化できます。

 

結果を得るまでのスピード、そして導入の高速化。

スピードには2つの意味があります。1つは、結果を得るまでの時間という概念です。そして、展開スピード、すなわちラボで如何に早くSpotfireプラットフォームを導入し運用するのか、という概念です。

PerkinElmer Informaticsのクリニカル プラクティスでは、わずか6週間で導入できるSpotfire用のモジュラー ソリューションを開発しました。ラインリスティング レビュー機能は2週間で導入できるため、レビュー履歴のオーディットトレールを得られる直接的なメリットがあります。

「素早く機能し、自分に合わせて変更。」理想的な分析プラットフォームはどのようなものですか?

バイオ/医薬品業界は、創薬・プロセス開発から製造・臨床試験・市販後審査まで、医薬品ライフサイクル全体にわたりデータ分析に依存しています。高速かつ柔軟な分析に重点を置くプラットフォームは、操作時間を最小限に抑え、結果を得るまでのスピードを最大限に高め、意思決定を促進しながら、イノベーションとコラボレーションを共に実現します。

上記の大手製薬企業は独自のクリニカルソリューションをSpotfireで構築していますが、中小の製薬企業でもTIBCO Spotfireを活用して創薬・開発・商品化の流れを改善している例が数え切れないほどあります。

こちらのリンクから、BMS社、Gilead Sciences社、Bayer社、Johnson & Johnson社のお客様使用事例に関する動画をご覧いただけます。

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メアリー ドンラン 博士(Mary Donlan, Ph.D.)
プロダクトマーケティング エグゼクティブディレクター

メアリー ドンラン博士(Mary Donlan, Ph.D.)はRevvity Signalsでプロダクトマーケティングチームを率いています。マーケティング・ビジネス開発・フィールドアプリケーションでのライフサイエンス企業向けソフトウェアに関する20年以上の経験があります。また、University of Pennsylvaniaで化学の博士号を取得しています。