トランスレーショナルメディシンを目的としたデータ収集

ブログ:クリニカル&トランスレーショナル

ラボやデータ主導のトランスレーショナルメディシンは、治療戦略の効率的な開発を目的としたbench-to-bedsideアプローチ(ラボでの研究結果を用いて患者様を治療する新たな方法の開発)を目指す研究法です。トランスレーショナルメディシンでは、患者様の分子プロファイルと病因の情報提供に使用できるバイオマーカーを特定します。バイオマーカーには、糖尿病の患者様を識別する血糖値や、患者様のがん発症リスクを示す特定の遺伝子突然変異があります。

トランスレーショナルメディシンにおいて分子プロファイルを確立して利用することは、患者様の診断に基づく特異的経路の標的に特化した創薬で役立ちます。このアプローチでは、画一的な医薬品製造に比べて副作用が少なく、より優れた結果が得られます。トランスレーショナルメディシンには、健康上の成果に加えて経済的なベネフィットがあり、うまくいけば効果的な手段となり得ます。しかし、これには大量のデータ処理が伴います。トランスレーショナルメディシンにおけるデータ作業の概要は次のようになります。

データの収集

ラボから治療に至るまでのプロセス全体で、有り余るほどの情報が集まります。医薬品開発を成功させるためには、これらのデータをすべて分類・分析しなければなりません。これをより効果的に行うためには、標準化された効率的な方法を用いて、はじめから責任を持ってデータを収集することが重要です。

データ収集のガイドライン:

• 統計的有意性を証明するのに十分なサンプルを収集すること

• 母集団全体で同じ臨床サンプルを使用すること

• 様々なソースからのデータセットを用いて、データモデルを使用すること

• 研究間での分析には、データが十分クリーンでキュレーションされていることを確認すること

質の高いデータは、効果的な医薬品の開発に役立つだけでなく、一部の薬剤が効かなかった場合に、その理由を特定するべく遡及的に使用することもできます。例えば、非小細胞肺がんを治療するための薬剤の最初の化合物は、当初、自己免疫疾患の免疫応答に対しては有効な治療法ではありませんでした。現在では、そのKeytrudaという薬剤は、最初に意図したものとは全く異なる機序で効果を発揮することがわかっています。

データの単純化

大規模な遺伝子産物を追跡するデータ分析は、途中で断片化する可能性があります。分析パイプラインが多くなり、情報のサイロ化が生じると、科学者と臨床医の連携が難しくなることがあります。

効果的に処理するためには、データをすべて整理して分類する必要があります。最初のステップとして、専門家以外の個人やチームでもデータを見て分析し、生物学的理解を活用できるよう、データ全体へアクセスできるようにすることが望ましいです。データアクセスを効率化するための戦略を実行することで、時間の節約にもつながります。

拡張性のあるデータ管理とアクセス可能なデータツールは、トランスレーショナルメディシンを成功させる上で不可欠であり、それを利用することで、患者様は価値ある効果的な医薬品を受け取ることを期待できるようになります。トランスレーショナルメディシンの優先事項の詳細については、こちらのチェックリストをご覧ください。

node:field_display_author:entity:field_person_image:entity:image:alt
Revvity Signals Software

Revvity Signals Software:科学的ブレークスルーを加速


科学者がより賢明な決定を下し、人生を変えるような科学的躍進をもたらす効果的な治療法を開発できるよう、私達はエンタープライズ向けソフトウェア ソリューションで貢献します。