REST APIでSignals Notebook™の機能を拡張
今回、ゲストとしてお話しいただくフランク ポール 氏(Frank Pohl)は、ソフトウェア開発者 兼 コンサルタントです。PerkinElmer Informatics シニア フィールドアプリケーション サイエンティストのリンダ ケウィッチ(Linda Kewitsch)と協力して、複数のワークフローや情報提供に対応できるモバイル デジタルインベントリ ソリューションを、Signals NotebookのRest APIによる拡張性を利用して構築する方法について説明します。
高性能なインフォマティクスプラットフォームは、サイロでは機能しません。多数のシステムやデバイスが存在する複雑なエコシステムと統合する必要があります。組織特有のニーズを満たし、実際に使いやすくするには、カスタマイズできるワークフローが必須です。従って、システムの拡張に必要な能力と働きを担う拡張性が、今日のデータ主導型ラボでは不可欠なのです。最高クラスのソフトウェアは、様々な組織がそれぞれのワークフローを変更できる柔軟なオプションを備えています。
Signals Notebook(SNB)の柔軟性と拡張性では、REST APIのオープンフレームワークを利用しています。REST APIは、お客様の生産性を向上し、ワークフローを簡略化し、ユーザビリティを拡張。その可能性は、ほぼ無限です。REST APIは、開発者に高度な柔軟性と自由度をもたらします。そしてこれが、様々な機器やプラットフォームの接続に使われる人気の方法である理由なのです。
付箋によるラボの在庫管理
Signals Notebookの拡張性の一例は、在庫管理です。
2022年の今も、多くの企業ではまだExcelのスプレッドシートやEメールを使ったり、サンプルの保管場所や注文しなければならない消耗品を書いた付箋を部屋の壁・モニタ・キーボード・机などに貼り付けて、ラボの在庫を管理しています。
つまり、最新のテクノロジーを活用している企業様でさえ、在庫管理に苦闘しているのが現実なのです。
なぜでしょう?
主な理由は、煩雑な入庫/出庫確認のプロセスです。これは在庫が不正確になる原因になります。
REST APIフレームワークを使用すれば、在庫管理作業をSignals Notebookにシームレスに組み込めます。独立系ソフトウェア開発者 兼 コンサルタントのポール氏は、従来の機能の枠を超えた拡張を実現するモバイルアプリを、最近開発しました。それはまさにREST APIが意図としていたように、毎日の在庫管理を、あたかもご自身のモバイル機器に容器を移動するかのように行います。REST APIで照会した在庫情報が取得できることを、このアプリが実証しています。
この拡張性を使用した成果は?扱いにくいアドホックツールとのお別れです。カスタムアプリを使用すれば、ラボの在庫や注文を掌握し、洞察も得られます。
Signals Notebook Inventoryの構築
Signals Notebook SaaSソリューションを使えば、お客様やユーザの皆様はインストールとメンテナンスをシンプルに合理化できます。柔軟にカスタムできる革新的な在庫管理で、企業が在庫を保管するロケーションやサブロケーションを定義します。
Signals Notebookでは、固有のバーコードを付けた容器に入った材料・サンプルの保管場所をすべて記録できるため、Signals Notebookの実験にもシームレスに統合できます。検索や監査もでき、注文のワークフローを備えており、そして何よりもREST APIによる拡張が可能です。
モバイルアプリの構築に、REST APIを活用するのは難しくありませんでした(ダウンロードできます。以下ご参照)。モバイル機器でブラウザアプリを介してもSignals Notebookを利用できますが、専用ワークフローに適したアプリがあることは、エンドユーザの皆様に非常に良い影響をもたらします。
Signals Notebook Inventoryとモバイルアプリの統合
在庫の入庫・出庫確認の作業は、モバイル機器で素早く簡単に、物品をある場所から取り出し/補充する度に簡単にできることが望まれます。ラボのベンチ上にある容器の中身や、同僚が机の上に置いたサンプルの情報を知りたいときにも、同じことが望まれます。
Signals NotebookはSoftware as a Service(SaaS)ソリューションなので、ソースコードに変更を加えられません。Signals Notebookのお客様は、社内で、またはPerkinElmer Informaticsのサポートを受けて、お客様のニーズに対応するアプリを追加で開発できます。変更例として、モバイルアプリやウェブサイト上のダッシュボードの2つが考えられます。
在庫アプリは、Androidデバイス用とWindows用に開発されました。(REST APIへの変更や修正があると、アプリの機能に影響が出る可能性があります)。
このカスタマイズ ソリューションのメリットは何ですか?
- モバイル機器で素早く簡単に、入庫・出庫確認機能を利用できます。
- 容器(バーコードの付いたもの)に関する情報を瞬時に取得できます。
- 費用対効果の高さ―あらゆるものにRFIDタグを付けるよりも安価です(RFIDタグは優れていますが、高価な機器と追加のソフトウェアが必要です)。
- ラボのワークフローに適応できます。
- 使い慣れた技術スタックで構築できます。
このアプリは、ラボの在庫に関するソリューションの一例に過ぎません。ワークフローによっては、在庫管理以外に、専用のデータ入力が必要な実験データ管理用のソリューションなどの複雑なものが必要になる場合もあります。
実際にどのように機能するのか気になりませんか? Androidスマートフォンで動作するアプリをご覧ください。
Signals Notebook Inventory Mobile Appはどこで入手できますか? Google Play か Microsoft Store からダウンロードできます。
将来性のあるラボへ
お客様のインフォマティクスプラットフォームを将来も使い続けるようにするためだけでなく、性能の強化やワークフローの生産性を向上させるためにも、拡張性は不可欠です。Signals Notebookは、REST APIを利用して機能を拡張します。これにより、クロスプラットフォーム・機器の接続性・シームレスなデータ共有・堅牢なプロセス自動化・完全なスケーラビリティを皆様の組織で実現します。

リンダ ケウィッチ(Linda Kewitsch)
シニア フィールドアプリケーション サイエンティスト
ケウィッチは、ドイツのハノーファー大学で植物バイオテクノロジーの理学修士を取得しました。2011年にPerkinElmer Informaticsに入社し、サービスエンジニアとして電子ノートとアナリティカル ソリューションを展開・構成しました。2015年にFASチームに加わり、PerkinElmerのバイオ医薬品関連製品ポートフォリオを理解し評価できるようお客様をサポートしています。