偽の化粧品を検出:科学者と知的財産部門による内容分析・統計情報学の活用
経済協力開発機構(OECD)の報告によると、2016年に化粧品・香水の模倣品が業界へ与えた損失は54億ドルにのぼりました。その後も、化粧品・香水分野の模倣品は年々著しい増大を続けています。2018年の米政府の調査では、WalmartやAmazonなどの人気サイトでサードパーティが販売する製品の42%超が模倣品であることが分かりました(靴・水筒・化粧品・携帯電話の充電器などのサンプリング検査による)。

偽の化粧品の危険性
真正品とは違い、化粧品・香水の模倣品が適切な検査を受けることはほとんどありません。通常、管理基準が遵守されることもありません。規制されていない物質が含まれていることも多く、消費者が疑いを持たずに使用し、重大な被害を被る可能性があります。
どれほど深刻なのか?
化粧品の偽造品や模倣品には、ベリリウム・ヒ素などの発がん性物質が含まれている場合もあります。さらに、水銀・鉛・カドミウム・アルミニウムなどの毒性の高い物質や、危険なレベルの細菌が含まれていることもあります。
CBSニュースによると、アイシャドウ(Jaclyn Hill)と口紅(Mac)の真正品と模倣品をラボで検査したところ、製品中の鉛濃度に著しい差が認められました。アイシャドウの模倣品には、真正品の約4倍もの鉛が含まれていました。同様に、口紅の模倣品にも真正品の約15倍の鉛が含まれていました。
規制管理された環境で製造されていない模倣品は、高度の汚染にさらされています。時には、化粧品の模倣品から糞便物質が検出されることさえあります。2018年に、ロサンゼルス市警察は地元の商店街で化粧品の模倣品を多数押収しました。これらの模倣品は70万ドル相当と評価され、その一部には多量の細菌や糞便物質が含まれていました。
FBIは、「香水の模倣品中に、DEHPが含まれていることが分かりました。DEHPは米国環境保護庁の基準で、発がん性の可能性がある物質に分類されています。これらの香水・コロンの模倣品には、重篤な皮疹を引き起こす尿が含まれていることもあります」と報告しました。
米国食品医薬品局(FDA)に毎年寄せられる苦情の多くは、消費者が正規品と誤認した化粧品の模倣品に含まれる毒性成分の有害作用によるものです。発症する可能性がある有害作用としては、アレルギー反応・発疹・化学熱傷・感染症があります。
模倣品は、香粧品業界の大きな課題です。模倣品の蔓延を防ぐために企業が講じる重要な手段の1つが、内容分析です。

化粧品の内容分析
最も有効な模倣品の予防策は、製品の内容成分分析です。研究開発部門・知的財産部門の協力のもと、研究者がガス・液体クロマトグラフィー質量分析や分光分析などの手法を用いて、商標品と模倣品に含まれる成分とその配合を明らかにします。次に、商標の真正性を保護するため、その分析結果を知的財産部門・弁理士/弁護士・規制当局と共有します。それぞれの成分組成で識別された相違を基に、消費者が危害を被る前に、模倣品を実店舗とネット市場から排除できます。
香水・化粧品の模倣品の阻止に注力する科学者には、化学成分組成の違いを解明するための強力な多変量解析・統計解析ツールが必要です。
PerkinElmer Informaticsのテクニカル ソリューションは、化粧品業界の模倣防止に役立ちます。強力なデータ管理システムのSignals Inventa™は、模倣品と真正品の成分組成の違いの高速検出に必要な、迅速な科学的解析を提供します。多変量統計解析は、真正品と模倣品を素早く比較する助けとなります。相違が見つかった時点で、各企業は自社製品と顧客を守るために法的措置を開始できます。

PerkinElmer InformaticsのSignals Notebook™は、強力な検索・連携機能を備えているため、弁理士/弁護士や研究者が安全性情報・成分データを検索し、必要に応じてFDAや欧州連合(EU)と共有できます。
さらに、EUの禁止物質リストやカリフォルニア州法プロポジション65に記載された成分を、実験結果と併せてSignals Notebookの電子目録システムに保存することで、有害物質の確認と模倣品の排除が容易になります。
知的財産部門による模倣の阻止に、PerkinElmer InformaticsのSignals Research Platform™をどのように役立てているのか、是非ご覧ください。

クリス スタンプ(Chris Stumpf)
Revvity Signals Software シニアプリンシパル マーケティング プロフェッショナルスタンプは、Revvity Signals Softwareでマーケティングプログラムを担当するシニアプリンシパル マーケティングプロフェッショナルです。分析機器・インフォマティクス業界で、医薬品・ライフサイエンスから化学物質・材料に至るまで20年を超える経験があります。Purdue Universityで分析化学・質量分析のPh.D.を取得しています。