電子実験ノート(ELN):ラボの実験台でのデータ収集をハンズフリーで

1990年代に誕生して以来、電子実験ノート(ELN)は進歩を遂げてきました。この数十年で、どこにでもある紙のノートに取って代わり、重要な地位を占めるようになりました。
科学データ入力の障壁を解消
ELNによって、科学データの取り込み・保管・知的財産権の保護・分析・コラボレーション・イノベーションが大幅に向上しました。それでもなお、データのみならずプロトコルや関連情報をシームレス、かつ簡単に入力し、機器を統合する必要性が課題として残っています。
デジタルノートと紙のノートのいずれを用いるとしても、研究者や検査技師はリアルタイムで実験を記録して、トレーサビリティと再現性が得られるようにしなければなりません。しかし、実験中に実験台でノートを取ることには、いくつかの問題があります。
- 一刻を争う反応では研究者の集中力が求められますが、データを入力する作業に注意を向けると、その集中力が途切れます。
- ラボ内の各所に移動したり、施設内の別の場所に出向いたりしなければならないことさえあります。ワークステーションまで戻って研究データや観察所見を記入しなければならない場合、リアルタイムで情報入力できなくなります。
- ノートに記入する際に手袋や他の個人用保護具(PPE)を取り外すのは、安全手順の遵守に必要でしょうが、タイムリーな情報の記録への新たな障害となり得ます。
これらすべてが障害となり、データ収集の遅延やワークフローの中断を招き、ひいては生産性の低下につながることも少なくありません。データ入力を後回しにすると、コンプライアンス・データの正確性・効率に問題が生じる可能性があります。
このような課題に対処し、データの保管を最適化するには、実験やラボプロセスを中断せずに、リアルタイムでデータを効率的に取り込むための、革新的な解決策が必要です。
革新的な解決策とは?ELNとデジタルラボアシスタントを統合したソリューションです。
電子実験ノートとデジタルラボアシスタントの統合
デジタルラボアシスタントとの統合は、研究者やラボ管理者が実験中にデータを記録することで生じる問題に、画期的な解決策をもたらします。
ELNにデジタルラボアシスタントを組み入れることで、研究者やラボスタッフは、科学プロトコルへアクセスしたり、タイマーの設定、ノートへの記入、作業を直接記録するための写真撮影を、実験台から音声コマンドを使って実行できます。
さらに、この統合によって、安全手順違反の可能性をなくし、キーボードや他の入力デバイスの操作のためにPPEを外すという、手間のかかるプロセスを省けます。その結果、研究者は実験に集中し、研究の正確性・完全性を維持できます。
研究者が音声コマンドで詳細な観察所見・測定値・実験条件を直接口述するだけで、その内容がテキストに変換され、ELN内の適切な欄に自動入力されます。また、プロトコル・安全性情報・在庫情報などの重要な情報にもリアルタイムでアクセスできます。デジタルラボアシスタントでは、ボイスメモの文字起こしだけでなく、タイムスタンプ・実験の詳細・サンプルID・機器IDなどのメタデータも取り込めるため、包括的で構造化されたドキュメンテーションが可能です。
音声対応したデジタルラボアシスタントの機能と、直感的なユーザエクスペリエンスをフルに活用することで、データの完全性を維持しながら、時間の有効活用・集中力の維持・ラボの生産性向上を実現できます。.
直感的なRevvity Signals Notebook™とLabTwinの統合
ラボのデジタルトランスフォーメーションを加速するために、Revvity SignalsはLabTwin社と協力関係を築きました。
Revvity Signals Notebookは、その強力な機器の統合機能に加え、化学・生物学・特殊化学品・製剤処方・バーコードによる在庫管理・分析ワークフロー管理を目的とする業界最高水準の専門ツールを搭載済みです。
それでも、私達はLabTwin社とともに、Open AIによるSignals NotebookとLabTwin社の最先端のデジタルラボアシスタントの統合に取り組みました。その結果、科学者・研究者を考慮した設計の、シームレスで効率的なワークフローが得られました。
LabTwin社の音声対応デジタルラボアシスタントは、実験の各ステップを音声で案内し、観察所見・結果・写真すべてをリアルタイムで記録できます。また、自動的にデータを構造化し、メタデータを追加することでプロセスを簡略化するとともに、監査証跡全体を含む包括的なレポートを作成して、これをRevvity Signals Notebookに自動で転送します。
LabTwin社とのコラボレーションは、進化を続ける科学界のニーズに適した包括的なソリューションを提供するという、Revvityの方針を象徴するものです。
Revvity Signals Notebookの詳細について
ラボワークフローの改善、データ収集の効率化、ハンズフリーのデータ入力の活用を求めるお客様のニーズを満たすためには、Revvity Signals Notebookが必要なソリューションとなるでしょう。
LabTwin社のデジタルラボアシスタントを統合した電子実験ノートを用いて、データの手入力による問題を解決し、皆様のラボのイノベーションを加速させる方法について、是非、お問い合わせください。
今すぐお問い合わせいただき、皆様の研究を次のレベルへ。

セリア ガセラン(Célia Gasselin, Ph.D.)博士
LabTwin社 マーケティングコミュニケーション マネージャー
ガセラン博士は、国際的な研究・科学コミュニケーション機関で数年間経験を積んだ後、LabTwin社に入社しました。フランスのInstitute for Medical Research(INSERM)で神経科学の博士過程に進んだ後、スイスの非常に革新的な研究機関として知られるEPFLの神経科学者として、最先端のin vivo実験を実施しました。EPFLでは、自身のラボの完全なデジタルトランスフォーメーションに携わり、日常業務の中で使用するLIMS-ELNとネットワーク接続型デバイスの開発・統合に取り組みました。LabTwinチームによる「未来のラボ」実現への旅に参加したのは、科学の効率化を進めることへ深い情熱があるからです。

メアリー ドンラン 博士(Mary Donlan, Ph.D.)
プロダクトマーケティング エグゼクティブディレクター
メアリー ドンラン博士(Mary Donlan, Ph.D.)はRevvity Signalsでプロダクトマーケティングチームを率いています。マーケティング・ビジネス開発・フィールドアプリケーションでのライフサイエンス企業向けソフトウェアに関する20年以上の経験があります。また、University of Pennsylvaniaで化学の博士号を取得しています。