ケミカルインダストリー4.0時代の新製品開発
新しい配合の開発/既存の配合の改良/試験の実施/結果の分析を問わず、ケミカルインダストリー4.0は、工業化学の研究開発部門の皆様のプロセスに影響を及ぼすでしょう。では、ケミカルインダストリー4.0とは何なのでしょうか?
ケミカルインダストリー4.0
現在、私達はまさに第四次産業革命(インダストリー4.0)の時代にいます。第四次産業革命とは、広義には、データ・機械・プラットフォームを組み合わせて、データ統合と自動化を促進し、よりよい意思決定を下し、イノベーションを加速すること、と定義されています。
イノベーションは常に、化学業界の成長と進化の主な原動力となってきましたが、テクノロジーの進歩と変化する市場ダイナミクスが結び付いたことで、事業モデルの見直しが求められています。現状維持は、もはや有効な戦略ではありません。私達の業界にとって、今が変革の時期であることが明らかになってきています。
化学系の研究開発ラボにおけるインダストリー4.0には、ほぼ例外なくデジタルトランスフォーメーションの影響を受けており、Lab of the Futureでのいくつかの試みが注目されています。これがケミカルインダストリー4.0であり、デジタル技術がその主要な原動力となっています。
Deloitte社は、同社のニュースレター『2023 Chemical Industry Outlook』の中で、化学産業に影響を及ぼす4つの注目すべきトレンドの1つに、「デジタル」を挙げています。
「デジタル化の導入で、化学メーカーの意思決定環境が変わりつつあります。[中略]メーカーがデジタル技術をますます活用し、マテリアルイノベーションを後押しし、成分配合や特定分野の知識を評価・最適化・吸収することで、配合コストの削減が進む可能性があります。」
化学業界がデジタル化/データ主導型のトレンドに着目するのは、新しいことではありません。2016年に、Deloitte社はニュースレター『Industry 4.0 and the Chemicals Industry』を発行しています。その時点で、同社は、これらの変革に対してテクノロジーが果たす役割を予測していました。
「モノのインターネット(IoT)・先端材料・積層造形・高度な分析・人工知能・ロボティクスなどの化学業界関連の先端技術は、共にコストと性能の面で、幅広く応用できる水準に達しています。」
Deloitte社が7年前に描いた先端技術の普及が今、実現していると言っても過言ではないでしょう。

ケミカルインダストリー4.0の中核をなすデータ
ケミカルインダストリー4.0では、新たな化学製品の開発を効率よく進めるために、データを取得し体系化する能力が必須です。データを有効活用し、洞察を引き出せる研究開発チームが、ケミカルインダストリー4.0が抱える以下の重要な問題において有利な立場に立つでしょう。
- 必要不可欠な市場投入までのスピード。
- 品質管理とリスク管理による、プロセス改善の変革を促進。
- パイプライン中の配合プロセスを進めるために必要な材料費と生産性を考慮。
- 先端材料における、新たな市場ニーズや進化する市場ニーズへの対応。
データの取得・整理・分析による新製品開発の推進
現在は、クラウド技術と計算処理能力の向上によりデータが溢れていますが、多くの場合、それらは散在し、サイロ化され、体系化されていません。しかし、利用価値はあります。データがあれば、活用は可能です。
デジタルトランスフォーメーションを遂げた化学系企業は、適切なソフトウェアを用いてデータを活用できるため、得る利益も大きなものとなります。
- 研究開発チームは、より高い生産性を実現。
- 新しい製品開発パイプラインにより、プレミアム価格で高性能な製品をより早く上市。
- 包括的な情報共有と透明性の改善による、さらに高いレベルでのコラボレーションの実現とイノベーションの高度化・高速化。
未来のラボを…今日から。
未来のラボは、すでにここにあります。最近の動向の1つに、AI支援による研究開発リサーチプラットフォームを、研究開発組織の化学製品開発に役立てている例があります。例えば、PerkinElmer InformaticsのSignals Notebook™やSignals Inventa™などのSignals Research Platform™は、コラボレーション環境でデータを取得・分析・ビジュアライズし、意思決定を改善します。包括的なツールセットを科学者に提供し、研究開発組織のインダストリー4.0を実現します。
これらのツールは、データの取得から分析までの包括的なソリューションを提供するために連携しています。Signals Notebookを使えば、製品開発データを取得し、情報を整理して共有できます。一方、Signals Inventaでは、データを分析・ビジュアライズして、研究開発チームが新製品開発でより良い意思決定をできるようにします。
化学業界で起きているデジタルトランスフォーメーションの主な推進力となっているものは、スピードと品質、そしてその先にある製品の成功です。特殊化学品/食品・香料/石油・ガスのいずれの業界であっても、より良い新製品をより早く開発することが、競争における究極の差別化要因であり、収益に多大な影響を及ぼす可能性があります。このような効率化を実現するためには、化学系の研究開発組織がデータを有効に利活用することが求められています。
PerkinElmer InformaticsのSignals Research Platformを用いて、特殊化学品の研究開発データを活用し、ROIを向上させることができるのか、是非、ご覧ください。または、未来のケミカルインダストリー4.0組織を築くために、今すぐお問い合わせください。
その他のリソース
Whitepaper > Accelerating high-performance chemical innovation with better data management
Product Page > Signals Notebook: Future-proof your ELN
Product Page > Signals Inventa: Accelerate Scientific Decision-Making

ジュン リウ(Jun Liu)
Revvity Signals Software シニア マーケティング マネージャーリウは、Revvity Signals Softwareで産業化学分野のマーケティング活動を担当するシニア マーケティング マネージャーです。特殊化学品業界で10年以上のマーケティングとビジネス開発の経験があり、半導体業界でソフトウェアエンジニアとしての職歴もあります。University of Texasオースティン校でMBAの学位と電気工学の修士号を取得し、Michigan Technology Universityでコンピュータ工学の学士号を取得しています。